英語ニュースの聞き流しは意味がある?
流すだけでは伸びない理由と効く聞き方
この記事は、英語リスニングアプリ「リスニングBOX」の運営者が書いています。研究の内容は、末尾の「この記事について」に出典をまとめています。
英語ニュースの聞き流しに効果はある?
ただ流しておくだけでは、聞き取りはほとんど伸びません。効果が出るのは、聞いている内容がおおむね分かるときです。
「おおむね分かる」の目安は、1回聞いたあとに「誰が・何をしたニュースか」を一言で言えることです。単語で言えば、知らない単語が20語に1語くらいまで(理由は次の節で説明します)。このくらい分かるニュースなら、聞くたびに、知っている単語の音に慣れ、聞き取れる部分を増やしていけます。
反対に、半分も分からないニュースは、何時間流しても英語の音が通り過ぎるだけです。リスニング指導の研究者が、難しい素材ではなくやさしい素材をたくさん聞く「多聴」を勧めているのもこのためです。「聞き流すだけで話せるようになる」といった広告の言い方は、うのみにしない方がいいでしょう。

聞き流しで伸びる人と伸びない人の違いは?
分かれ目は、出てくる単語をどれだけ知っているかです。知っている単語が約95%、つまり知らない単語が20語に1語くらいまでなら、多くの人が話の内容を安定して理解できます。
うれしいことに、これは読むときよりも低いハードルです。読んで理解するには約98%(50語に1語)が目安なので、聞く方が、知らない単語が多少あっても内容についていけます。必要な単語の数も、聞くだけなら2,000〜3,000語ほどで足りると考えられています。

リスニングの得点の差の約半分は単語の知識で説明できる、という研究もあり、単語を増やすほど聞き取れるニュースも増えていきます。
ただし、これらの研究で使われたのは物語調の話し言葉で、ニュースそのものではありません。ニュースは政治・経済などの専門的な単語が多いので、同じ割合を満たすには、もう少し多くの単語が要ると考えておくのが無難です。
つまり、
- 伸びる人: 自分のレベルに合ったニュースを選び、だいたいの内容を追えている人
- 伸びにくい人: 難しすぎるニュースを、内容を追えないまま流している人
の違いだと言えます。
自分に合った英語ニュースかを確かめるには?
研究のように単語の割合を数えるのは大変なので、次の目安で確かめるのが現実的です。
- 1回聞いて、何についてのニュースか(誰が・何をした)を一言で言える
- スクリプトを見たとき、知らない単語が1文に1つ以下
- 2回目に聞いたとき、1回目より聞き取れる部分がはっきり増える
どれも難しいなら、素材が難しすぎるサインです。学習者向けのニュースを選ぶと、ぐっと聞きやすくなります。たとえば VOA Learning English は、限られた単語で、通常の放送よりゆっくり読まれています。
聞き流しを「効く聞き方」に変えるには?
同じ時間を使うなら、次の4ステップがおすすめです。
- まず聞く: スクリプトを見ずに1回聞き、大意をつかむ
- 確かめる: スクリプトを見て、聞き取れなかった所と知らない単語を確かめる
- もう一度聞く: 内容が分かった状態で、もう一度聞く
- 余裕があればシャドーイング: 音声のすぐ後を追いかけて声に出す

日本の大学1年生56人を対象にした2014年の実験では、単語と内容を学んでからシャドーイングしたグループだけが、聞き取りのテストで伸びました。内容を学ぶ前にシャドーイングしたグループは伸びませんでした。小規模な実験ですが、「分かってから聞き直す」順番を支える結果です。
ステップ2でスクリプトを見るのは、ズルではありません。分からないまま聞き続けるより、一度確かめてから聞き直す方が、次に同じ音が来たときに聞き取れるようになります。
どのくらい続ければいい?
学習者向けのやさしい本と音声を使い、13週間(約3か月)にわたって「読むだけ」「読みながら聞く」「聞くだけ」の3つのグループで比べた研究では、読みながら聞いたグループで、最も一貫して大きな伸びが見られました(2014年の論文)。スクリプトを見ながら聞く練習を、数か月の単位で続ける意味を支える結果です。1回に長く聞くより、短い時間でも毎日続ける方が、生活の中に組み込みやすく、続けやすいはずです。
目安としては、1日1本の短いニュースを上の4ステップで回すところから始めて、慣れたら本数や長さを増やすのがおすすめです。
リスニングBOX でできること(執筆元より)
リスニングBOX は、この記事の「効く聞き方」を毎日1本で回せるように作っています。
- 自分のレベルに合ったニュースが届く: 本物のニュースをもとに、レベル(初級 A2・中級 B1・上級 B2)と好きな分野に合わせた約1分の英語ニュースが、毎朝1本届きます。
- 聞いて、確かめて、聞き直せる: スクリプトを見ながら聞けて、分からない単語はタップで意味を確認できます。再生速度は0.75〜1.5倍で変えられます。
- 覚えた単語がまた出てくる: 保存した単語は、忘れかけたころに復習が出て、翌日以降のニュースにも登場します。
気をつけたい点もあります。iPhone 専用で、無料で使い続けられるプランはありません(どちらの有料プランも7日間無料で試せます)。ニュース全文の日本語訳はなく、意味は単語ごとに確かめる形です。
7日間無料で試すよくある質問
寝ながら英語ニュースを聞き流しても効果はありますか?
期待しない方がいいでしょう。寝ている間は内容を追えないので、ただ流しているのと同じです。起きている時間に、短いニュースを内容を確かめながら聞く方が確実です。
作業中に BGM として流すのは無駄ですか?
英語の音に慣れる効果はあるかもしれませんが、聞き取りを伸ばしたいなら、内容が分かる素材を選び、別に内容を確かめる時間をとるのがおすすめです。
1日何分聞けばいいですか?
長さより、毎日続けることを優先してください。1〜数分の短いニュースを「聞く→確かめる→聞き直す」で回すところから始めると続けやすくなります。
スクリプトや和訳を見るのはズルですか?
ズルではありません。日本の大学生を対象にした実験では、内容を学んでから聞き直す練習をしたグループの方が、聞き取りが伸びました。
初心者でも英語ニュースを聞き流していいですか?
いきなり通常のニュースではなく、学習者向けの、ゆっくり読まれるニュースから始めるのがおすすめです。
この記事について
- 運営者: リスニングBOX(この記事で紹介したアプリの運営者です)
- 確認日: 2026年10月
- 出典:
- van Zeeland, H. & Schmitt, N. (2013). Lexical coverage in L1 and L2 listening comprehension: The same or different from reading comprehension? Applied Linguistics, 34(4), 457–479.
- Schmitt, N., Cobb, T., Horst, M. & Schmitt, D. (2017). How much vocabulary is needed to use English? Replication of van Zeeland & Schmitt (2012), Nation (2006) and Cobb (2007). Language Teaching, 50(2), 212–226.
- Stæhr, L. S. (2009). Vocabulary knowledge and advanced listening comprehension in English as a foreign language. Studies in Second Language Acquisition, 31(4), 577–607.
- Renandya, W. A. & Farrell, T. S. C. (2011). 'Teacher, the tape is too fast!' Extensive listening in ELT. ELT Journal, 65(1), 52–59.
- Hamada, Y. (2014). The effectiveness of pre- and post-shadowing in improving listening comprehension skills. The Language Teacher, 38(1).
- Chang, A. C.-S. & Millett, S. (2014). The effect of extensive listening on developing L2 listening fluency: some hard evidence. ELT Journal, 68(1), 31–40.
- VOA Learning English(公式サイト)